特集 産婦人科医が担うべき産道裂傷の包括的ケア―女性のQOLを守るために
女性の健康やQOLにかかわる長期的視点
2.産道裂傷と骨盤臓器脱
小玉 美智子
1
M. Kodama
1
1大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室(教授)
pp.1089-1094
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003570
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本稿では,骨盤底機能障害と骨盤臓器脱の関連性について考察する。妊娠や出産による骨盤底への影響は大きく,特に分娩外傷が骨盤底機能低下を引き起こすことが指摘される。骨盤底機能障害は多くの女性が経験するが,正確な罹患頻度や症状の認識は不十分である。尿失禁や便失禁などの症状を訴えることはおそらくしばしば避けられており,実際には生活の質(QOL)を低下させていると推察される。現時点では治療法は限られており,将来的な調査・研究が必要である。医療提供者と妊婦との信頼関係において病状を把握することが,将来に向けた重要なステップと考える。

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