症例
疼痛管理が困難であった子宮頸癌の1例―オピオイド誘発性痛覚過敏の可能性―
福長 健史
1
,
伊藤 泰史
1
,
小島原 敬信
1
,
手塚 尚広
1
T. Fukunaga
1
,
Y. Ito
1
,
T. Kojimahara
1
,
N. Tezuka
1
1公立置賜総合病院産婦人科
pp.811-815
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003489
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症例は53歳,子宮頸癌IB2期。根治術を試みるも困難であり,同時化学放射線療法,TC(パクリタキセル,カルボプラチン)+ベバシズマブ療法を行った。直腸腟瘻と多発骨転移をきたし積極的治療は困難となり,疼痛コントロール目的で当院へ転院した。下腹部と腰部,下肢の疼痛は制御され退院した。その1週間後,腰痛が増強し再入院。モルヒネ塩酸塩19,200mg/日の持続静注でも十分な鎮痛は得られず,35時間後に永眠した。大量のオピオイドを投与しても疼痛管理が困難な場合には,オピオイド誘発性痛覚過敏の可能性をも考慮すべきであることを述べ,難治性になりやすい神経障害性疼痛,子宮頸癌のがん性疼痛,疼痛評価における課題などについて考察した。

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