症例
発症早期に手術し良好な治療効果を得た卵巣奇形腫合併抗NMDA受容体脳炎の1例
福長 健史
1
,
小島原 敬信
1
,
山下 由花
1
,
伊藤 泰史
1
,
手塚 尚広
1
T. Fukunaga
1
,
T. Kojimahara
1
,
Y. Yamashita
1
,
Y. Ito
1
,
N. Tezuka
1
1公立置賜総合病院産婦人科
pp.425-429
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001251
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抗N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体脳炎は若年女性に好発する自己免疫性疾患であり,卵巣奇形腫合併例では早期の腫瘍摘出が推奨されている。症例は35歳の未妊女性。感冒様症状の後に統合失調様の症状を認め精神科に入院したが,中枢性呼吸障害が出現したことで辺縁系脳炎が疑われ神経内科に転科した。その後,抗NMDA受容体抗体が陽性と判明し,卵巣腫瘍合併が疑われたことから両側付属器摘出術を施行した。病理組織検査では左卵巣に1cm大の成熟囊胞奇形腫を認めた。術後は徐々に症状が改善し,経過良好で退院した。若年女性の辺縁系脳炎では本疾患を想起することが重要である。
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