総説
子癇発症は非妊時高血圧脳症の高血圧重度より低い―その背景を脳循環自動調節CARより探る―
日高 敦夫
1
A. Hidaka
1
1元 大阪市立総合医療センター副院長/元 大阪市立大学医学部客員教授
pp.511-520
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003396
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子癇を招く高血圧重度は非妊時高血圧脳症を招く高血圧レベルより低い。その背景に,脳循環は頭蓋骨に囲まれ不完全な閉鎖腔内にあり,妊娠による血液量増大に対応するにはあまりにも狭い許容量で,むしろ有害な脳圧亢進を危惧させる。幸いにも,脳自動調節CARにより一定の脳循環が維持される。正常妊娠との比較にて,妊娠高血圧腎症や子癇の血圧上昇に対するCARの病態生理学的対応に関し,正常妊娠や妊娠高血圧のCARは良好で,妊娠高血圧腎症,加重型,そして子癇の順にCARの低下がみられる。しかし,血圧レベルとCARには直接的関連は認められない。

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