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COVID-19の精液所見への影響
岡田 桂輔
1
K. Okada
1
1神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野(講師)
pp.503-509
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003394
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,呼吸器のみならず男性生殖器にも影響を及ぼす可能性が指摘されている。精巣はACE2およびTMPRSS2を高発現しており,ウイルスの直接侵入,炎症,酸化ストレス,内分泌異常などを介した造精機能障害が想定される。本稿では既報をもとに病態機序を整理し,当院でのCOVID-19罹患男性38例を対象とした後ろ向き解析を報告した。罹患後には精子濃度および運動率の有意な低下を認め,高熱の持続例で顕著であったが,6カ月以降の再検査では多くが回復傾向を示した。変化は基本的に一過性かつ可逆的と考えられた。加えて,mRNAワクチンが精液所見に悪影響を与えないことも確認され,感染予防の観点からその有用性が示唆された。

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