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血圧の中枢性調節と高血圧症
浜窪 隆雄
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1東京大学先端科学技術研究センター分子生物医学部門
キーワード:
本態性高血圧症
,
圧受容体反射
,
レニン・アンギオテンシン系
,
孤束核
Keyword:
本態性高血圧症
,
圧受容体反射
,
レニン・アンギオテンシン系
,
孤束核
pp.334-336
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903279
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はじめに
高血圧症の成因を考える立場として,中枢神経系の異常として捉えるものと末梢臓器(腎,血管系など)の異常として捉えるものとに分けることができる.両者を必ずしも対立するものとして考えなければならないわけではなく,逆に密接な連関を保っているものであるはずだが,高血圧症の研究を理解するうえでは分けて論じたほうがわかりやすい.中枢神経系の高血圧症への関与を指摘していたページ(Page IH)が亡くなってから中枢神経派はやや押され気味という見方もできるが,ここ数年来,従来の電気生理学的手法に加えて免疫組織化学的手法や定位脳手術による局所への微量注入法などの進歩,さらにさまざまな神経伝達物質の受容体分子の遺伝子クローニングなどの分子生物学的手法の発達により,自律神経系の中枢での調節機構に関する知識は深まってきている.またストレスや免疫系とのかかわりも研究されるようになり新しい概念が生まれつつあると言える.本稿では本態性高血圧症との関連において重要と思われる仮説を概説する.
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