特集 エビデンスと経験が紡ぐ未来の産科診療―科学的探究がもたらす新たな視点
4.子宮頸部手術後妊娠の腟分泌物プロテオミクスからみえてきた早産管理の新たな視点
上田 優輔
1
,
最上 晴太
1
Y. Ueda
1
,
H. Mogami
1
1京都大学医学部婦人科学産科学
pp.357-363
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003356
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子宮頸部はその解剖学的位置関係から妊娠維持に重要な役割をもつ。われわれは,子宮頸部手術後妊娠の腟分泌物をプロテオミクス解析することで,子宮頸部の妊娠維持機構の解明を試みた。広汎子宮頸部摘出術(トラケレクトミー)後妊娠では,粘液関連蛋白であるMUC5B量が妊娠中期の腟分泌物中で低下しており,さらに円錐切除後妊娠では,腟分泌物中のMUC5B量が正期産群と比べ早産群でより低下していた。子宮頸部の物理的支持力や適切な腟内細菌叢の維持に加えて,MUC5Bなどの局所免疫防御機構も妊娠維持に重要な役割を果たす。さらに腟分泌物中のMUC5B定量は有効な早産予測マーカーとなることが期待される。

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