特集 エビデンスと経験が紡ぐ未来の産科診療―科学的探究がもたらす新たな視点
3.CAOS
安田 枝里子
1
,
千草 義継
1
E. Yasuda
1
,
Y. Chigusa
1
1京都大学医学部附属病院産科婦人科
pp.351-355
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003355
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CAOSは妊娠初期からの性器出血と羊水減少を主徴とした進行性の疾患であり,その病態の本質は微小な破水である。早産および羊水量減少に伴う児への肺障害によって周産期予後は不良であり,通常の切迫流産(早産)とは区分して認識されるべき疾患である。CAOSでは子宮内に絨毛膜血腫,胎盤辺縁血腫といった出血源が明確に認められることが多く,娩出された卵膜は極めて脆弱である。われわれの基礎研究によって,血液中に含まれるトロンビンが卵膜の脆弱化,子宮頸管の熟化を誘導すること,また絨毛膜下血腫によって卵膜でM2マクロファージが増加し,TGF-β-Smad3経路による卵膜の線維化が亢進することなど,CAOSの病態形成機序が分子生物学的に明らかになりつつある。

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