カラーグラフ 産婦人科領域におけるレーザー療法・3
子宮頸部腫瘍に対するレーザー療法後の子宮腟部の再生
蔵本 博行
1
,
脇田 邦夫
1
,
泉 貴文
1
Hiroyuki Kuramoto
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.1018-1019
発行日 1991年9月10日
Published Date 1991/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900535
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これまで子宮頸部の早期癌や異形成に対するレーザー療法について述べたが,その治療効果ばかりでなく極めて滑らかな子宮腟部の再生が得られるのが本法の特徴である.そのため,治療後年月を経た患者では,治療を行ったことすらも局所から判別できないことも少なくない.そこで,今回は腟部再生の典型例を紹介したい.
一般にレーザー療法は,高反応レベルレーザー療法(HLLT)と低反応レベルレーザー治療(LLLT)に大別される.頸部腫瘍に対する療法は,細胞を破壊してドーム状の組織欠損を作らせることから,HLLTに属するものといえる.しかし,レーザー光による,照射周辺部に対する細胞活性の賦活作用,すなわちLLLT様作用も否定し切れない.このような作用の存在は,①疼痛の緩和(大きな損傷となるにもかかわらず,治療直後から解消し,鎮痛処置は全く必要としない.),②素早い治癒経過(損傷部は個人差なく,ほとんど画一的に4週強で治る.),③自然に近い腟部の再生(治療の見分けがつきにくいこともしばしばである.),さらにその後の④妊娠・分娩機能にほとんど無害であることなどから判断される.
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