特集 フローチャートでわかる 婦人科外来診療パーフェクトブック
Ⅲ 腫瘍
31.卵巣腫瘍
田畑 潤哉
1
,
矢内 原臨
1
,
岡本 愛光
1
J. Tabata
1
,
N. Yanaihara
1
,
A. Okamoto
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学講座
pp.1302-1306
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003166
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卵巣腫瘍は,その名のとおり卵巣に発生する腫瘍の総称であるが,極めて多種の組織型を呈する。わが国では,「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第2版」において,卵巣,卵管,腹膜の腫瘍は,臨床病理学的に1つにまとめて取り扱われている1)。これは,2020年に刊行された世界保健機関(WHO)による女性生殖器腫瘍分類 第5版に準拠したものである。卵巣腫瘍の各組織型は上皮性腫瘍,精索間質性腫瘍,胚細胞腫瘍に大別され,さらに良悪性に準じて良性,境界悪性,悪性に区分される。卵巣腫瘍のうち約10%は悪性腫瘍であるが,卵巣悪性腫瘍の約90%は上皮性であり,うち約15%は遺伝性乳癌卵巣癌を含む遺伝性腫瘍と報告されている。悪性卵巣腫瘍の進行期分類は,手術進行期分類としてFIGO進行期分類(2014)が,病理学的TNM分類としてUICC第8版が用いられている。悪性卵巣腫瘍は約半数がⅢ・Ⅳ期の進行癌で発見され,女性性器悪性腫瘍のなかでは最も死亡数が多い。
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