特集 産婦人科医が身につけておくべき遺伝カウンセリング
10.HBOCにおける遺伝カウンセリング
川畑 絢子
1
,
矢内原 臨
1
,
岡本 愛光
1
A. Kawabata
1
,
N. Yanaihara
1
,
A. Okamoto
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学講座
pp.193-198
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000763
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遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)は,BRCA1/2の生殖細胞系列の変異に起因する,乳癌および卵巣癌をはじめとするがんの易罹患性症候群である。常染色体優性遺伝形式を示し,BRCA遺伝学的検査の結果はクライエントのみならず血縁者にも影響が及ぶ。HBOCの遺伝カウンセリングは,HBOCの情報提供に始まり,遺伝学的検査のインフォームド・コンセント,結果の開示,医学的管理の提示など多くのプロセスを要する。クライエントにより身体的,心理的状況も異なるため,必要な情報を適切なタイミングで提供することが重要である。卵巣癌に対するポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤の登場で,今後BRCA遺伝学的検査はコンパニオン診断として用いられ,産婦人科医がHBOC診療を提供する機会は急増することが予想される。本稿では,産婦人科医が身につけておくべきHBOCカウンセリングの要点を解説する。
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