特集 産婦人科医が知っておきたい プレコンセプションケアの最前線Ⅱ
10.卵子凍結とプレコンセプションケア
菊地 盤
1,2
I. Kikuchi
1,2
1メディカルパーク横浜(院長)
2順天堂大学産婦人科(客員准教授)
pp.583-588
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002983
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近年,少子化対策として注目されている卵子凍結だが,筆者が指揮した世界初の地方自治体が助成するプロジェクトの結果から,その使用率が低いため,卵子凍結自体の少子化対策としての効果は限られるかもしれない。しかし,卵子凍結をきっかけに妊娠時期を検討し,凍結卵子を使用せずに妊娠・出産に至った参加者もいたことから,計画的な卵子凍結の提案と費用補助はある程度有益であると思われた。将来の妊娠を考え,卵子凍結を検討しなければならない女性が問題なのではなく,そのプレッシャーを女性のみに押し付けているこの社会自体の問題である。プレコンセプションケアはそのような社会全体に対して行うべきであり,社会こそが変わるべきであろう。
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