特集 産婦人科医必携 最新の細菌・真菌感染症に対する薬の使い方と留意点Ⅰ
各論
4.頸管炎と絨毛膜羊膜炎の検査と産前産後の薬の使い方
木下 真由
1
,
永松 健
1
M. Kinoshita
1
,
T. Nagamatsu
1
1国際医療福祉大学成田病院産婦人科
pp.43-48
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002830
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妊娠時に腟炎や頸管炎から上行性に感染が波及すると,絨毛膜羊膜炎(CAM)をきたす。従来,臨床的CAMはLenckiの診断基準により診断され,腟培養検査により原因菌を同定していた。近年は,羊水や母体血中の炎症性メディエーターの検出や網羅的細菌叢の検索などが注目されている。上行性感染に伴う流早産リスクと腟内常在菌の関係に関する研究ではLactobacillus属やさらには菌種の個人差に着目したうえで,プロバイオティクスやプレバイオティクスを用いた予防が試みられている。CAMに至る前段階での頸管炎や前期破水において上行性感染の防止を目的として,抗菌薬が使用される。他方,CAMと判断した場合には速やかな妊娠終結を目指すが,分娩までの期間に重症化を防止するために,経験的にB群溶血性連鎖球菌やウレアプラズマをターゲットとした抗菌薬を投与することも多い。
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