カラーグラフ 胎盤の生理と病理・5
絨毛膜羊膜炎
中山 雅弘
1
1大阪府立母子保健総合医療センター病理室
pp.511-513
発行日 1992年5月10日
Published Date 1992/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900832
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子宮内感染症は,上行性感染症と血行性感染症に大別される.上行性感染症は羊水に感染症が発生し胎盤では表面の混濁,臍帯では浮腫あるいは色調変化を見る.胎盤表面では母体白血球の浸潤が混濁としてみられ,従って,胎盤表面の混濁度は母体の感染徴候と相関する.胎盤の胎児面及び臍帯の肉眼的観察により絨毛膜羊膜炎は診断できる(表1)2).しかも,羊膜と絨毛膜との癒着の程度を見ることにより,炎症が急性のものか慢性のものかがわかる.一方,臍帯は胎児の感染に対する反応を示す.
早産に特異的な感染症として,石灰沈着性臍帯炎がある.臍帯に炎症後の産物と考えられる石灰沈着がみられるのが特徴的で卵膜には強い炎症細胞の浸潤を認める.Navvaro,Blancらはsubacute necrotizing funisitis(SNF)として報告しているが3),これが新生児のWilson-Mikity症候群と強く関連する(約1/3の例がWilson-Mikityになる)ので極めて重要な所見である4).
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