今月の臨床 難治性細菌感染症
産科の難治性感染症
3.絨毛膜羊膜炎
千村 哲朗
1
1白鷹町立病院
pp.944-946
発行日 1998年7月10日
Published Date 1998/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903339
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難治性細菌感染症としての絨毛膜羊膜炎cho—rioamnionitisの問題は,重症感染症として本症が産科領域感染症のなかでいかなる意義を有するかにある.本症は卵膜(絨毛膜・羊膜)の炎症所見を主体としたカテゴリーに入るが,実際の臨床診断では,羊水・脱落膜・胎盤・胎児・臍帯などに炎症が波及する病態も含まれている.とくに重症で難治性感染では,娩出後に敗血症性ショックseptic shockに至った症例も報告1,2)されている.重症例では,胎児の予後からみると,トコライシスに抵抗を示し,娩出形態(経腟分娩・緊急帝王切開分娩)を呈し,胎児死亡に至る場合も多い.したがって,母体・胎児の予後からみて,重症・難治性感染では妊娠継続が困難な場合が多く,その診断と治療における重要性が指摘されよう.
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