今月の臨床 早産─予防と対策
早産と絨毛膜羊膜炎
金山 尚裕
1
1浜松医科大学産婦人科
pp.740-743
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100128
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はじめに
絨毛膜羊膜炎の発生ルートとしては,頸管炎が卵膜主体に上行波及すると前期破水が起こり,子宮筋,脱落膜主体に炎症が進展すれば切迫早産が発生すると考えられる.絨毛膜羊膜炎の炎症性細胞が羊膜の線維層のコラーゲンを分解すると卵膜の脆弱化をきたし前期破水となり,また頸管炎から子宮筋,脱落膜に炎症が波及すると脱落膜のマクロファージや子宮筋細胞からさまざまな子宮収縮物質が産生され子宮収縮が惹起される.絨毛膜羊膜炎による炎症反応が早産時の臨床像を形成することが明らかになってきた.そして最近早産はintrauterine inflammatory response syndrome(IUIRS),fetal inflammatory response syndrome(FIRS)という概念で包括されるようになってきた.早産管理においても抗炎症対策の重要性が叫ばれるようになってきた.病理学的に絨毛膜羊膜炎が進行するにつれ早産率,胎児死亡率が高まる1).絨毛膜羊膜炎をいかにコントロールするかが早産管理のポイントである.
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