特集 胎盤の科学がもたらす周産期疾患の新たな理解
2.子宮胎盤局所の免疫学的応答と不育症
福井 淳史
1
,
柴原 浩章
1
A. Fukui
1
,
H. Shibahara
1
1兵庫医科大学医学部産科婦人科
pp.1079-1084
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002724
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胎盤には,NK細胞,T細胞,B細胞,マクロファージなどの母体免疫細胞が存在する。これらが適切に存在したうえで,機能発現,機能分担することが,妊娠の成功のためには不可欠である。2回以上の流死産の既往がある不育症は,その約60%がリスク因子不明と診断される。そのなかには免疫異常を有するものも存在すると考えられ,いまだ研究段階ではあるが,子宮内膜のCD56bright NK細胞率,KIR陽性率,制御性T細胞といった免疫細胞の分布異常が子宮内での免疫担当細胞の機能発現異常を引き起こし不育症となる可能性がある。また,それらの免疫異常に対して,様々な治療が試みられている。
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