今月の臨床 不育症診療─その理論と実践
免疫応答不全による不育症
高桑 好一
1
,
田村 正毅
1
,
田中 憲一
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科(産婦人科)
pp.1143-1147
発行日 2004年9月10日
Published Date 2004/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100603
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はじめに
近年,原因不明習慣流産の原因として免疫的要因が注目されている.胎児・胎盤系は母体にとって半分は自己,半分は非自己という性質を有しており,母体にとって半同種移植片とみなすことができる.したがって妊娠がうまく継続するためには,免疫反応の制御が必要であるが,最近では胎児・胎盤系に対し,母体が積極的な免疫応答を行い,適切な免疫反応が生ずることが妊娠維持に重要な役割を果たしているものと考えられている.今回のテーマである「免疫応答不全による不育症」は,そのような背景によるものであり,このような病態に対し,夫リンパ球によるいわゆる「免疫療法」が行われその有効性が報告されている.
本稿においては,免疫療法の実際について筆者らのデータを示しながら概説を行うこととする.
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