今月の臨床 妊娠と免疫
妊娠維持の免疫機構
2.胎盤の免疫学的特性
山下 隆博
1
,
藤井 知行
1
,
武谷 雄二
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.1017-1021
発行日 2003年8月10日
Published Date 2003/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100851
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概 要
胎盤は胎児と母体の境界に位置し,絨毛を介して母体血と胎児血が栄養・ガス交換を行う場であるが,免疫学的に考えると大変不思議な臓器である.というのは胎児は父系抗原を持つ半同種移植片semi―allograftであるのに母体によって拒絶されないからである.胎児側の細胞が母体と接しているのに拒絶されないことは従来の移植免疫学では説明できず,そこにはいわゆる妊娠免疫と呼ばれる妊娠維持機構が存在するはずである.妊娠免疫には胎盤局所で働いているものと,母体血中胎児細胞や胎盤由来ホルモン・サイトカインによって惹起される全身性のものがあるが,本稿では前者について述べる.
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