今月の臨床 不育症—その対策のすべて
原疾患との関わり
2.子宮奇形と不育症
永田 一郎
1
Ichiro Nagata
1
1防衛医科大学校産科婦人科学講座
pp.12-16
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900255
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子宮奇形は200〜600人に1人とも0.1〜12%ともいわれており,Buttram & Gibbons1)は自然流産率は双角子宮と重複子宮では35〜43%,子宮中隔では67〜88%,単角子宮では33〜48%といっている。また,牧野ら2)は子宮奇形と診断された患者の流産率は96.6%におよんだと報告している。
過去においては,“重複子宮”という呼び名には部分子宮中隔,双角子宮,重複子宮,完全分離子宮が漠然と含まれていた。しかし,子宮奇形の程度ないしタイプによっては妊娠,分娩とも正常に経過することもあるが,タイプによっては流産,早産,胎位の異常などの合併症と密接な関連性があり,妊娠,分娩の可能性,その経過,手術の適応などは,子宮奇形のタイプによって大きく異なっている。それ故,子宮奇形のタイプに対する正確な鑑別診断が必要である。この目的でButtram & Gibbons1)が示したように,子宮卵管造影術(HCG)や子宮鏡で子宮内腔の形態を知るだけでなく,子宮の外側の輪郭を知ることが必要となる。そのためには腹腔鏡や開腹術が必要となり,超音波診断やMRIも応用されるようになってきた。ここでは子宮奇形の種類とそれぞれの生殖能力の相違を述べ,その診断法,治療法を論じる。また,子宮奇形における不育症の病因論にも言及する。
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