今月の臨床 IUGR診療
IUGRの病態
7.子宮胎盤循環
村上 雅義
1
1国立循環器病センター周産期治療科
pp.272-275
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901639
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子宮胎盤循環になんらかの障害が起これば,当然胎児への栄養,ガス交換が障害され胎児発育遅延症(以下IUGRと呼ぶ)が発症する,その前方視的な証明としては,古くはWigglesworthら1)や山口ら2)のラットを用いた実験がある.ヒト胎児においても,IUGR例で胎盤の虚血性変化(梗塞など)や臍帯に循環障害を伴う所見が多いことから,子宮胎盤循環の障害という病態がIUGRを引き起こすことに異論を唱える人はいない.ところが実際,子宮胎盤循環の障害を事前に捉え,IUGR発症を予測・予知することはそれほど容易なことではない.多くは,結果としての胎児発育をスクリーニングすることでIUGR例を抽出し,それらにおける循環動態を評価して治療に結びつけている.治療のことを考えるとやはりIUGRが発症する前に循環動態を評価したい.本稿では,子宮胎盤循環の評価法ならびにその成績について述べるとともに,それをIUGRの治療にどのように結びつけられるかについても言及する.
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