特集 産婦人科診療に必要な遺伝カウンセリングの基本知識と実際
総論
4.性腺モザイクに関する遺伝カウンセリング
佐藤 卓
1
,
末岡 浩
2
,
水口 雄貴
3
,
長谷川 奉延
4
S. Sato
1
,
K. Sueoka
2
,
Y. Mizuguchi
3
,
T. Hasegawa
4
1医療法人財団荻窪病院 虹クリニック
2慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センター
3慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
4慶應義塾大学医学部小児科学教室
pp.143-149
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002047
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性腺モザイクとは,同一個体の生殖腺において2系統以上の遺伝情報をもつ細胞が混在する状態を指す。骨形成不全症などの一部の疾患では,表現型が正常なカップルから罹患児の妊娠・出産を繰り返すことがあり,これには性腺モザイクの事例が多く含まれる。生殖にかかわる遺伝カウンセリングの実践には,罹患児妊娠の再発リスクの推定が重要な要素となるのだが,性腺モザイクの事例では容易ではない。その際に着床前遺伝子検査の実施は強力な選択肢となる。男性側の性腺に変異を有する例では精液由来DNAの解析が極めて有用となる。一方,女性に変異を有する例では採卵術を要することになり,これは現実的な選択肢とならない可能性もある。
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