特集 周産期における研修医・新人助産師/看護師教育の必修知識 産科編
出生前カウンセリング
遺伝カウンセリング
室本 仁
1
,
和田 誠司
1
MUROMOTO Jin
1
,
WADA Seiji
1
1国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター胎児診療科
pp.164-167
発行日 2024年2月10日
Published Date 2024/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001435
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はじめに
遺伝カウンセリングとは,クライアントが正しく情報を理解し,慎重に考えたうえで自己決定できるよう支援し,その過程や決定を尊重する医療行為である。そのため,必要な要素として主に ① 情報収集,② リスク評価,③ 情報提供,④ 心理支援の4つがあるとされるが,どれかに偏ったり欠けたりする遺伝カウンセリングにならないように配慮する必要がある。現状では出生前検査の結果,人工妊娠中絶に至るケースが多く,現状やむを得ない事情とされているが,一方では検査対象疾患がある種の差別にあたるとして倫理的に反対する意見も多い。倫理に普遍的な正解はないがさまざまな立場の意見を十分に理解しクライアント自身の気持ちを尊重する姿勢が最も重要である。出生前検査は表1~4)のように確定的検査・非確定的検査(スクリーニング検査)・形態学的検査に大別される。本稿では,血清マーカー検査,NIPT,羊水・絨毛検査,超音波断層法(主にNT)の役割に関して解説する。
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