臨床経験
帝王切開瘢痕部から発生した子宮体癌
-―自験例よりみえる問題点―
望月 琴美
1,2
,
柴田 俊章
2
K. Mochizuki
1,2
,
T. Shibata
2
1富士宮市立病院産婦人科
2浜松医科大学産婦人科学講座
pp.567-572
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001730
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帝王切開瘢痕部から発生する子宮体癌は稀であり,その報告例は少ない。帝王切開瘢痕部と子宮体下部に発生するがん(子宮峡部癌)の特徴を併せもつ病態であり,通常の子宮体癌とは異なる特徴を有すると考えられる。今回,帝王切開瘢痕部から発生したと強く示唆される子宮体癌の症例を経験し,同症例を通してその問題点について検討した。
診断や治療にかかわる臨床的な問題点から,病理学的および遺伝学的性質の違い,社会的問題への示唆など,その特徴は多岐にわたると考えられ,臨床診療をするうえで本病態を認識する重要性が再確認された。一方,帝王切開部など瘢痕組織における悪性腫瘍の動向や子宮峡部癌についての特性などいまだ明確でないことが多い病態と考えられるため,今後の症例蓄積による解明が期待される。
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