連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・11
帝王切開瘢痕部妊娠の1例
我妻 理重
1
1大崎市民病院産婦人科
pp.905-907
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100734
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症 例
患 者 : 30歳代前半の女性(中国人)
既往歴 : 帝王切開2回
現病歴 : 最終月経は7月30日から5日間.9月5日,市販の妊娠反応検査で陽性.9月15日から不正性器出血を認め,9月16日に当科初診となった(最終月経から換算して妊娠6週6日).
妊娠反応は陽性であった.やや多めの性器出血がみられ,子宮内膜の肥厚を認めたが,胎嚢は確認できなかった.進行流産の診断にて子宮内膜除去術を行い帰宅とした.2週間後の再診を指示したが来院せず,10月11日(妊娠10週3日)に性器出血にて来院した.妊娠反応は陽性であった.経腟超音波にて帝王切開瘢痕部に胎盤様のエコー像を認めた(図1).
以上より,通常の流産もしくは帝王切開瘢痕部妊娠(以下,瘢痕部妊娠)が疑われ,入院管理が必要であることを説明した.しかし,満床であり,出血もそれほど多くなかったため,その日は帰宅としてベッドが空き次第連絡することとした.翌日,本人より,母国である中国で治療を受けたいとの強い申し出があった.移動中の出血の危険性を十分に説明したうえで,紹介状を渡した.
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