特集 内膜を極めるⅠ―内膜の機能と着床をめぐる最近の話題―
3.子宮内膜脱落膜化と着床不全
黒田 恵司
1,2
K. Kuroda
1,2
1杉山産婦人科新宿 生殖医療科難治性不妊症診療部長,内視鏡診療部長
2順天堂大学産婦人科学教室非常勤講師
pp.1043-1048
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001415
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ヒトの子宮内膜はプロゲステロンにより脱落膜化し,着床時期が形成される。脱落膜細胞は胚に対する受容性と選択性をもち,妊孕性のある胚がくれば受容し,一方妊娠まで至らない異常胚がくれば着床しない機序がある。その受容能の障害,もしくは選択能の促進が着床不全となる可能性がある。受容能を阻害する因子として,新鮮胚移植における早期プロゲステロン値の上昇や,抗老化作用をもつレスベラトロールやラパマイシン,脱落膜化を阻害する慢性子宮内膜炎が挙げられる。一方,不良胚と良好胚を同時に胚移植すると,不良胚が選択能を促進し良好胚の着床を阻害する可能性がある。至適な脱落膜化を誘導することが,不妊治療における妊娠率の向上に重要である。
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