特集 着床
子宮内膜の脱落膜化現象について—Epidermal Growth Factorを中心として
山本 稔彦
1
Toshihiko Yamamoto
1
1三重大学医学部産科婦人科学教室
pp.37-45
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904815
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細胞成長因子(growth factors)は,Gaspodaro—wiczにより“in vivo,in vitroにおいて動物細胞の成長を促進する因子であって,細胞内に取り込まれて代謝基質または補酵素として利用されない物質”と定義されている1)。
現在では40種以上の細胞成長因子の存在が知られているが2),これらは特異的膜受容体を介して高分子物質の生合成・核の遺伝子発現の調節や細胞増殖の制御を司り,多面的効果(plciotropic effects)を発揮しているものと考えられている。この効果発現の作用機序としては,特異的膜受容体に内在するtyrosine kinase活性に基づく一連の蛋白リン酸化反応,endocytosisによる細胞内processing,phosphatidylinositolの代謝回転とprotein kinase Cによる制御,さらにproto—oncogenesの発現などが密接に関与しているものと考えられている。
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