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子宮頸がん検診におけるHPV検査導入は世界的な流れである。その方法として,細胞診との併用検診とHPV検査で1次検診を行うprimary HPV検診がある。CIN2以上の異常を検出する際に,両検診法の間で検出感度に差はないが,併用検診では不要な検査が増えるという理由から,ヨーロッパやオセアニアの住民健診ではprimary HPV検診が採用されつつあり,米国でも検診の1つとして認可されている。しかし,primary HPV検診を日本で実施する場合に問題がないわけではない。1つは,現行の市販のHPV検査では日本におけるがん誘発HPV型がすべて網羅されていないこと,あるいはHPV検査間の一致率は7割程度しかないため,どの方法を選ぶかという問題,HPV検診陽性例に対し次に実施するtriage法や検診間隔など,アルゴリズムをどうするかという課題が残されている。HPV検査の選別においてのポイントは,これまでの実績から,primary HPV検診を導入するならHC2法であり,併用検診ならcobas®法もよいと思われる。最近の研究成果から,Aptima®法はprimary検診に用いられるかもしれない。BD OnclarityTM法については,まだ実績が少ないため,現時点では併用検診が無難であろう。しかし,cobasとBD Onclarity法はHPV型の部分判別が可能であるため,HPV検査で陽性であった場合,すぐにコルポスコピー検査をするかどうかのtriageに有用と思われる。若い女性の子宮頸癌が増加している現在,検診における見逃しは許されない。検診の精度を高めるために,これらHPV検診をまず導入することは必須であると思われる。HPV検診の導入により検診間隔が延長されれば,検診受診率が上がる可能性もある。
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