特集 日本の周産期事情update―出生コホート研究からわかったこと―Ⅱ
各論
10.親の体格と児の出生体重
髙木 香津子
1
,
杉山 隆
1
K. Takagi
1
,
T. Sugiyama
1
1愛媛大学大学院医学系研究科産科婦人科学講座
pp.115-120
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001174
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胎児期や乳幼児期などの生涯の早い段階における環境は,将来の健康状態に影響を与える。また将来の生活習慣病のみならず,精神神経系などのあらゆる発達に対する影響も含めた非感染性疾患(NCDs)の発症のリスクと関連することが明らかになっており,DOHaDという概念として提唱されている。そのなかで低出生体重児は,循環器系疾患,2型糖尿病,慢性閉塞性肺疾患,精神発達異常など将来のNCDsの発症のリスクが高いことが明らかになってきており,出生体重はNCDs発症の重要因子の1つであると考えられる。出生体重を規定する要因としては,遺伝因子のみならず子宮内環境などによるエピジェネティクスを介することが報告されている。両親の体格に関しては,母親の体格が出生体重に与える影響はよく知られているが,父親の体格が出生体重に与える影響については,一致した見解はない。
子どもの健康と環境に関する全国調査「エコチル調査(JECS)」は,環境省の事業として2010年度から開始された環境化学物質の健康影響に主眼をおいた出生コホート研究である。われわれは,わが国において最大規模の疫学調査である「エコチル調査」のデータを用いて,全国15カ所の地域における約10万組の親子の出生体重と父親の体格に関する関連性を検討した。
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