特集 女性医学Update
骨粗鬆症
8.婦人科悪性腫瘍治療後の骨粗鬆症
澤田 健二郎
1
,
宮本 真由子
1
,
木村 正
1
K. Sawada
1
,
M. miyamoto
1
,
T. kimura
1
1大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室
pp.497-503
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000850
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女性の骨量は卵巣から分泌される女性ホルモンにより維持され,恒常性が保たれている。したがって,婦人科悪性腫瘍治療に伴う卵巣機能の廃絶は重大な骨量減少を招く。また,婦人科治療による影響も無視できない。腹部放射線照射により骨密度が減少し,脆弱性骨折が増えることが報告されている。
治療介入は原則的には「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版」1)に則って行われる。ただし,婦人科悪性腫瘍患者は多くの骨粗鬆症のリスクを抱えており,骨折の既往がない症例においても,骨密度がYAM値(若年成人平均値)で80%未満の場合,適宜治療介入を考慮される。骨粗鬆症は “Silent Disease” であり,患者が何かしらの自覚症状を訴えることはほとんどない。そのため,婦人科悪性腫瘍治療にあたる産婦人科医こそが,個々の患者の骨量減少の可能性を念頭に置いて診療にあたることが望まれる。
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