特集 女性医学Update
骨粗鬆症
6.閉経と骨粗鬆症
斎藤 充
1
M. Saito
1
1東京慈恵会医科大学整形外科
pp.483-489
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000848
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閉経によるエストロゲン欠乏により,破骨細胞活性が高まり骨吸収の亢進が生じる。その結果,骨微細構造の破綻や石灰化度の低下がもたらされ,骨密度が低下する。エストロゲン欠乏は同時に酸化ストレスの増大を招き,骨基質の主要な構成成分であるコラーゲンの老化を誘導し,骨密度の低下とは独立した機序で骨折リスクを高めることがわかってきた。すなわち,エストロゲンの欠乏は骨の量だけではなく,質(材質の劣化)の低下をも招く。骨密度は骨吸収を抑制することにより,効率よく改善可能である。これに対し,骨コラーゲンの老化を防ぐためには,骨の新陳代謝機構である骨リモデリングを適正に制御するのと同時に,酸化ストレスを低下させることが必要である。エストロゲンおよびエストロゲン受容体修飾薬(SERM)は,骨吸収の抑制と抗酸化作用による骨質改善を併せ持つ薬剤といえる。閉経後女性は酸化ストレス増大による骨質劣化が強く現れることから,病態に応じた治療薬を選択する必要がある。
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