今月の臨床 中高年女性のトータルヘルスケア
骨粗鬆症
1.閉経後骨粗鬆症─実態と診断
保坂 博章
1
,
龍野 一郎
1
1千葉大学医学部付属病院糖尿病・代謝・内分泌内科
pp.905-909
発行日 2007年7月10日
Published Date 2007/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101415
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はじめに
骨粗鬆症は高齢者のADLやQOLを阻害する代表的疾患の1つで,わが国では約1,000万人が罹患していると推定されるが,50歳以上の女性に限ると約650~850万人にのぼり圧倒的に女性に多い疾患である.
骨粗鬆症は1993年の香港におけるコンセンサス会議で「骨量の低下と骨微細構造の劣化を特徴とし,骨強度が低下し,骨折リスクの増大した状態」と定義づけられていたが,近年骨粗鬆症を考えるうえでは,年齢・既存骨折の存在・骨代謝回転関与など骨折の発生にかかわる危険因子全体を検討することが重要であると考えられるようになってきた.このような流れのなかで2000年に開かれたNIH(米国国立衛生研究所)のコンセンサス会議では,骨粗鬆症の定義が「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と改められた.「骨強度」は骨密度と骨質の2つの要因からなり,骨強度のほぼ70%は骨密度で,残りの30%は骨質で説明されるものとし,以前よりも骨質の重要性を強調したものとなっている.
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