特集 産婦人科医が身につけておくべき遺伝カウンセリング
4.着床前診断の現状と遺伝カウンセリング
庵前 美智子
1
,
中岡 義晴
1
M. Ammae
1
,
Y. Nakaoka
1
1IVFなんばクリニック
pp.151-156
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000757
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着床前診断(PGD)は,生殖医学と遺伝医学の高度な知識と技術が必要な医療行為である。現在,その実施は日本産科婦人科学会(日産婦)への症例ごとの申請が必要である。国内での臨床研究としての会告発表後20年が経過するが承認数は約600件にすぎず,その3/4は均衡型染色体構造異常に起因する習慣流産症例,1/4が遺伝性疾患症例である。近年の生殖補助医療の進歩に加え,新たな遺伝学的検査手法の開発により,PGDの解析精度は高まり,希望する患者も増えてきている。PGDは出生前診断による人工妊娠中絶や染色体異常による流産を回避するための唯一の方法である一方,臨床成績や倫理問題など解決すべき課題も多い。患者の自己決定を支援する上で,遺伝カウンセリングの重要性はますます高まっていると考える。
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