特集 HPVワクチンを改めて考える―接種勧奨の再開に向けて―
7.HPVワクチンの接種停止状態によってもたらされる国家的悲劇
上田 豊
1
,
八木 麻未
1
,
木村 正
1
Y. Ueda
1
,
A. Yagi
1
,
T. Kimura
1
1大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学
pp.981-986
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000549
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子宮頸がんの罹患率が増加に転じているわが国において,厚生労働省の積極的勧奨の差し控えの継続によって,HPVワクチンの接種は停止状態となっている。これにより,生まれた年度によってワクチン接種率が大きく異なる事態となり,今後,積極的勧奨の再開が遅れれば遅れるほど,ワクチンの開発でせっかく低下した子宮頸がんの罹患リスクがもとに戻ってしまう生まれ年度が次々に出現していくことになる。わが国の女子は単に何年度に生まれたか,ただそれだけで,本来予防できたはずの子宮頸がんのリスクを背負わされてしまっているのである。この不合理は国家的悲劇ともいうべきものであろう。
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