特集 小児の鉄代謝
4.感染症と鉄代謝
茂呂 寛
1
1新潟大学医歯学総合病院感染管理部
pp.840-845
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003138
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鉄はヒトと細菌の双方にとって不可欠な金属元素であり,細菌はシデロフォアの産生により効率よく鉄を獲得する仕組みをもっている.ヒトの側ではトランスフェリンやラクトフェリンによる細胞外の鉄の捕捉に加えて,調節因子としてヘプシジン,リポカリン2,Nramp1の存在が明らかとなった.生体側の鉄調節は炎症と連動することにより細菌の鉄獲得を抑制し,感染症を鎮静化する方向に作用すると考えられる.一方で細菌の鉄取り込み機構を応用した抗菌薬,セフィデロコルも登場し,薬剤耐性菌への活用が期待されている.このように,鉄代謝を軸に感染症をとらえ直すことにより,病態のさらなる理解に加え,診療の分野への応用が期待される.
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