特集 骨髄異形成症候群(MDS)診療の進歩と課題
MDSと鉄代謝
川端 浩
1
1金沢医科大学血液免疫内科学 特任教授
キーワード:
環状鉄芽球
,
ヘプシジン
,
SF3B1
,
鉄キレート療法
Keyword:
環状鉄芽球
,
ヘプシジン
,
SF3B1
,
鉄キレート療法
pp.51-55
発行日 2018年2月20日
Published Date 2018/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.36.02_0051-0055
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鉄はあらゆる生命体にとって必須の微量金属であり,人体では主としてヘム合成のために赤血球造血系で使われている。一方,鉄はフェントン反応を触媒して活性酸素種を生成するため,過剰に存在すると毒性を発揮する。体内に過剰に蓄積した鉄は,肝障害,糖尿病,心不全などの臓器障害を引き起こす。骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes;MDS)は鉄過剰症をきたす代表的な疾患の1つであり,特に低リスクMDS患者では頻回の赤血球輸血のためにそのリスクが高い。輸血を受けていないMDS患者においても,腸管からの鉄の吸収が亢進して鉄過剰症をきたすことがある。本稿では,MDSと鉄代謝に関わるトピックスとして,鉄過剰症をきたしやすい「環状鉄芽球(ring sideroblasts;RS)を伴うMDS」の病態と,低リスクMDS患者に対する鉄キレート療法の有用性の2点について整理してみたい。「KEY WORDS」環状鉄芽球/ヘプシジン/SF3B1/鉄キレート療法
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