特集 近未来の小児科のあり方・これからの展望
Ⅲ 先端医学・難病対策
15.遺伝子治療
小林 博司
1
1東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター遺伝子治療研究部(小児科学講座・遺伝診療部 兼任)
キーワード:
遺伝子治療
,
ウイルスベクター
,
遺伝子編集
,
生殖細胞
,
受精卵
Keyword:
遺伝子治療
,
ウイルスベクター
,
遺伝子編集
,
生殖細胞
,
受精卵
pp.1539-1546
発行日 2022年12月20日
Published Date 2022/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002417
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世界の遺伝子治療の薬事承認件数は臨床実装の現実化を反映し増加の一途をたどっている.現在の研究開発の主流はウイルスベクターによる遺伝子付加法だが,近未来の技術として遺伝子編集と生殖細胞への遺伝子治療が挙げられる.前者は相同組換えにより変異自体を正常配列に組み換える方法で,オフターゲットなどの課題があるが一部臨床試験も始まっている.後者は超早期治療につながり,次世代以降の発症予防も期待できるが,遺伝子治療の安全性がまだ確立されていない現在においては禁止されている.遺伝子治療研究は今後,より倫理的側面が重視されるが,不治とされた難病の根治が実現し始めていることも事実であり,小児科医にとって今後も重要なテーマの1つといえる.
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