Japanese
English
特集 クロマチンによる転写制御機構の最前線
Ⅳ.転写制御と生命現象
初期胚における遺伝子発現・転写制御
Transcriptional regulation in mammalian early embryos
阪野 亜美
1
,
伊藤 蒼
1
,
石内 崇士
1
Banno Ami
1
,
Ito Aoi
1
,
Ishiuchi Takashi
1
1山梨大学生命環境学部生命環境学部生命工学科
キーワード:
卵子
,
受精卵
,
胚性ゲノム活性化
Keyword:
卵子
,
受精卵
,
胚性ゲノム活性化
pp.250-254
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201684
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細胞機能の獲得・維持に遺伝子発現の調節は欠かせない。受精直後に形成される受精卵は,たった1つの細胞から完全な個体を形成する能力である“全能性”を持つ例外的な細胞であるが,この受精卵の細胞特性はどのような遺伝子発現により支えられているのだろうか。これは,全能性の分子基盤とは何か? という疑問に直結する生物学的に重要な問いであり,“多能性”獲得の必要十分条件が明らかになった現在では,この全能性に関する問いに挑戦する研究が世界的な潮流となりつつある。
アプローチのしかたは様々であるが,多能性幹細胞などの培養細胞を材料として,どのような操作を施せば受精卵特異的に発現する遺伝子が活性化されるかを探索するといったin vitroの実験をベースとする方法もあれば,in vivoの受精卵を用いて受精卵そのものの特性を根源的に解明し,得られた知見を基に全能性の分子基盤に迫るという方法もある。本稿では,このような研究の例を取り上げつつ受精卵・初期発生における遺伝子発現・転写制御について述べる。
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