症例
高度の閉塞性黄疸が輸液のみの経過で速やかに改善した遺伝性球状赤血球症の9歳男児
山崎 肇
1
1新潟市民病院総合周産期母子医療センタ−新生児内科
キーワード:
遺伝性球状血赤球症
,
閉塞性黄疸
,
胆泥
,
総胆管閉塞
,
胆汁栓症候群
Keyword:
遺伝性球状血赤球症
,
閉塞性黄疸
,
胆泥
,
総胆管閉塞
,
胆汁栓症候群
pp.1161-1164
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001419
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遺伝性球状赤血球症(hereditary spherocytosis:HS)は赤血球膜タンパクの先天異常により赤血球が小型球状化し,脾臓内で破壊されるために血管外溶血をきたす疾患である.生命予後は良好であるが,長年にわたる黄疸の持続の結果,胆石症の合併やこれによる胆道感染症や肝障害が問題となることがある1).今回,高度の閉塞性黄疸を呈したが,胆石や胆道系の閉塞・拡張などの異常所見を同定できなかったHSの症例を経験した.重度の症状にもかかわらず,輸液のみの経過で速やかに改善した.胆嚢内に胆泥の残渣を認めており,胆泥による一時的な総胆管の閉塞があった可能性を考えた.同様の症例が見当たらず,興味深い経過と思われたので報告する.
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