今月の主題 今日の血液形態学
赤血球の形態異常
遺伝性球状赤血球症
八幡 義人
1
Yoshihito YAWATA
1
1川崎医科大学・内科学
pp.1167-1169
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216617
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はじめに
末梢血にみられる赤血球の形態異常は種々知られているが,その多くは,血漿内あるいは血球内の代謝系の変化を微妙に反映していることが多い.
細胞外にその主な要因があるものとしては,慢性肝障害に合併する脂質代謝異常のためspur cell,標的赤血球target cellなどが認められるし,βリポ蛋白欠乏症ではacanthocyteが多数出現するのが特徴である.物理的な原因としては,種々の血栓症や血管壁の異常に関連する細血管障害性溶血性貧血症例に認められる破砕赤血球fragmented cellがその典型であろう.免疫異常,とくに自己免疫性疾患でも赤血球形態は著しい変化を見せることが多く,連銭形成のほかに,球状赤血球や種種の変形赤血球症を呈する.慢性尿毒症では赤血球の断裂化が目立ち,burr cel1が認められる.
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