症例
エミシズマブが著効しQOLの改善が得られたインヒビター非保有血友病Aの1例
内藤 広行
1
,
伊東 広臨
1
,
中本 哲
1
1市立千歳市民病院小児科
キーワード:
エミシズマブ
,
血友病A
,
血液凝固第Ⅷ因子
,
QOL
Keyword:
エミシズマブ
,
血友病A
,
血液凝固第Ⅷ因子
,
QOL
pp.454-457
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001259
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血友病Aは血液凝固第Ⅷ因子(FⅧ)の量的質的異常により生ずる遺伝的先天性凝固障害症であり,乳幼児期から関節内や筋肉内などの深部出血を繰り返す.関節内出血を反復すると慢性滑膜炎を発症し,進行すると非可逆的な血友病性関節症に至る.血友病治療製剤の開発および治療の進歩により,出血予防を図る目的でのFⅧ製剤の定期補充療法が幼児期から導入された結果,関節症の発症が抑制され,QOL向上に大きく貢献している.一方,① FⅧ製剤の血中半減期は短いため,定期補充療法として週2〜3.5回の経静脈内投与を要すること,② その際乳幼児などでの血管アクセスの困難さの問題が生ずること,さらに,③ 頻回の製剤投与に伴い発生する抗FⅧ同種抗体(インヒビター)の問題も重大な課題である.これらの課題に対し,まったく新たな止血機序による血友病治療製剤であるエミシズマブが開発された.このヒト型バイスペシフィッック抗体製剤は,抗原部位の片方に第Ⅸ因子,もう片方に第Ⅹ因子が結合することにより,活性型第Ⅷ因子機能を代替する.われわれは,症状コントロールに難渋した重症血友病A患者に対し,エミシズマブを使用しQOLの著明な改善が得られたため報告する.
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