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特集 転倒予防最前線
高齢者の転倒・骨折の動向
Trends in falls and fractures in the elderly
萩野 浩
1
Hiroshi HAGINO
1
1労働者健康安全機構 山陰労災病院,リハビリテーション科
キーワード:
Epidemiology
,
Hip fracture
,
Vertebral fracture
Keyword:
Epidemiology
,
Hip fracture
,
Vertebral fracture
pp.849-857
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000003465
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要旨:地域在住高齢者の年間転倒発生率は10~25%と報告され,加齢とともに上昇し,夏期に比較して冬季に多い。家庭内での転倒は,最も使用頻度の高い部屋で多く発生する。病院や施設入所者では早朝や夕方の排泄動作に関連して転倒が発生し,入院後早期に発生頻度が高い。転倒リスクには人種差があり,アジア人の転倒率は白人,黒人,ヒスパニックより有意に低い。大腿骨近位部骨折,椎体骨折の発生率は加齢とともに上昇する。四肢骨折の発生率は欧米白人に比べて日本人では低値であるのに対して,日本人の椎体骨折発生率は欧米白人より高い。その理由は十分に明らかでないが,四肢骨折の多くが転倒を原因として発生する割合が高いのに対して,椎体骨折はその割合が小さいため,椎体骨折では,転倒リスクよりも椎骨の大きさや骨強度が骨折発生率により大きく関与している可能性がある。

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