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要旨:脊椎手術の適応は高齢者にも拡大しており,術後の骨脆弱性関連有害事象の一つである脊椎椎体骨折が増加傾向にある。本研究では,60歳以上の連続した脊椎変性疾患の予定手術患者63例を対象に,術後1年における新規椎体骨折の危険因子を同定した。方法は,全脊柱単純X線側面像を用いてT10–L5まで半定量的評価法(SQ法)により,術前と術後1年における既存椎体骨折の評価を行った。術前SQ 0がSQ 1~3,あるいは術前SQ 1~2のgradeが1つ以上上がった症例を新規椎体骨折と定義した。新規椎体骨折に関与する因子として,年齢,性別,術前の既存椎体骨折の有無(SQ 1~3)と既存椎体骨折数,インストゥルメント使用の有無,脊椎矢状面アライメントに関するパラメータとしてsagittal vertical axis(SVA),thoracic kyphosis(TK),pelvic tilt(PT),pelvic incidence(PI)–lumbar lordosis(LL)を選択した。ロジスティック回帰分析を用いた多変量解析により術後1年の新規椎体骨折発生の危険因子を同定した。同定した因子が連続変数であった場合は,ROC曲線を用いてカットオフ値を算出した。術後1年における新規椎体骨折の発生率は37%であった。多変量解析の結果,TKが独立した因子として選択された(オッズ比1.040,95%CI:1.002~1.080)。ROC曲線を用いたカットオフ値は,29°(感度78%,特異度50%,AUC 0.66)であった。本研究により,術前のTK>29°は,新規椎体骨折の危険因子であり積極的に術後の骨粗鬆症治療介入が必要であることが示唆された。
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