術中神経生理学的モニタリングの偽陽性アラームおよび偽陰性症例の理解と対応

Understanding and responding to false-positive alarms and false-negative cases in intraoperative neurophysiological monitoring

要旨：術中神経生理学的モニタリング（IONM）は術中神経損傷を予防するために必要不可欠である。一方で，偽陽性（FP）アラームや偽陰性（FN）症例が発生する可能性がある。FPアラームでは実際の神経損傷がないにもかかわらずアラームが検出され，術者に混乱を与える可能性がある。また，FN症例では術中神経損傷が見逃されるため，安全性を損なう危険性がある。これらを防ぐには複数のモダリティを併用したmultimodal IONMが有効であり，モダリティの理解や適切な麻酔管理が重要である。さらに，アラーム発生時にはフローチャートに基づく段階的対応が推奨され，それにより麻酔薬や生理的要因，刺激装置の問題に伴うFPアラームを鑑別できる可能性がある。FN症例を減らすためには，適切な記録条件を維持し，モニタリング筋数の増加やアラームポイントの調整が求められる。IONMの精度向上には，さらなる研究と技術の発展が必要不可欠である。