転移性脊椎腫瘍に対する術中脊髄モニタリング

Intraoperative neurophysiological monitoring for metastatic spinal tumors

要旨：転移性脊椎腫瘍は最も一般的な骨転移であり，治療の進歩はがん患者の生存期間を改善し，それに伴って転移性脊椎腫瘍の治療機会が増加している。今回，転移性脊椎腫瘍に対し姑息的手術を適応する場合の術中脊髄モニタリングの特徴や実情について調査した。多施設研究の結果，転移性脊椎腫瘍に対する術中脊髄モニタリングの特徴は導出困難例が多いことで，術前に徒手筋力テスト（MMT）3以下の筋力低下があること，脊髄が腹側から圧迫を受けていることが導出困難の危険因子であった。また，転移性脊椎腫瘍に対する術中脊髄モニタリングに関する調査では，術中脊髄モニタリングの重要性は意識されている一方で，緊急手術として実施せざるをえないことも多い転移性脊椎腫瘍に対する手術では，スタッフの確保の観点から十分に術中脊髄モニタリングが実施できない実情があることがわかった。手術の安全性を確保するため，さらに多職種連携が可能な環境整備が不可欠である。