これすぽんでんす
偽陽性と偽陰性を念頭に置く
尾上 智彦
1
,
本田 まりこ
1
1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター皮膚科
pp.561
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412104059
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検査には基本的には偽陽性と偽陰性がつきものであり,臨床検査に対して医師は常に懐疑的な見地から結果を分析することが求められる.
角田らの報告のうち症例1はTreponema pallidum(TP)を抗原とする化学発光法陽性であったが,再検でTP抗原,カルジオリピン抗原のいずれも自動化法陰性,倍数希釈法陰性であったとの報告である.化学発光法と自動化法との乖離に関する検討は渡邉ら1)の報告が詳しい.同報告では346例の血清検体に対してTPを抗原とする化学発光法2種類に対する自動化法1種類の一致率をそれぞれ検討している.このうちいずれかの化学発光法陽性で自動化法陰性の症例は11例あり,結果の乖離した症例の合計は17検体(3%)ほどであった.渡邉らは乖離例に関してはTPを抗原とするイムノクロマト法,イムノブロッティング法ならびにカルジオリピンを抗原とする自動化法および倍数希釈法にて梅毒患者なのかどうかを検討しており.化学発光法陽性で自動化法陰性の症例は11例のうち,3例はその他の検査が陰性で非梅毒,残りの8例に関しては陳旧性梅毒と推測している.非梅毒患者血清の偽陽性に関しては自動化法および化学発光法で各々偽陽性を示した検体が異なっており検体由来ではなく試薬由来の特異性が原因と推測している.また化学発光法2法の結果の乖離に関しては,組み換え抗原の混合比や試薬化条件の違いに起因するものと推測している.
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