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線維芽細胞増殖因子23(FGF23)関連低リン血症性くる病・骨軟化症
福本 誠二
1
1徳島大学先端酵素学研究所藤井節郎記念医科学センター
pp.1290-1292
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208198
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はじめに
骨芽細胞が産生・分泌するⅠ型コラーゲンを主とする骨基質に,ハイドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]結晶が沈着する石灰化により骨が形成される.くる病と骨軟化症は,この骨石灰化の障害を特徴とする疾患である.くる病と骨軟化症の病因は,数多い.ただし,これらの疾患の病因は共通で,慢性低リン血症が原因となっている場合が多い.このうち,成長軟骨帯閉鎖以前に発症し,下肢変形や成長障害を主徴とするものが,くる病である.成人で発症する骨軟化症では,筋力低下や骨痛が主訴となることが多い.
歴史的には,ビタミンD欠乏くる病・骨軟化症が大きな問題であった.その後,天然型ビタミンDの補充によっては治癒しない“ビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症”という疾患概念が提唱されていた.近年の検討により,大分部のビタミンD抵抗性くる病・骨軟化症は,過剰な線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23:FGF23)活性によるFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症であることが明らかにされた.
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