整形トピックス
FGF23と低リン血症性疾患
福本 誠二
1
1徳島大学先端酵素学研究所特任教授
pp.862-862
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_862
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くる病や骨軟化症は,成長軟骨帯や骨の石灰化障害を特徴とする疾患である.これらの疾患は,同一の病因により惹起され,成長軟骨帯の閉鎖以前に発症するものをくる病と呼んでいる.くる病では,成長障害や骨変形が主な症候となる.一方,成人発症の骨軟化症患者は,骨痛や筋力低下を訴える場合が多い.骨芽細胞から発出される基質小胞内でカルシウムとリン酸イオンなどによりハイドロキシアパタイト結晶が形成されることで,石灰化が開始・進行する.したがって慢性の低カルシウム血症や低リン血症は,くる病や骨軟化症の原因となる.このうち慢性の低リン血症がくる病や骨軟化症の原因となることが多い.慢性の低リン血症は,ビタミンD欠乏や消化管障害などによる腸管リン吸収の低下に加え,尿細管リン再吸収障害により惹起される.
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