特集 内分泌疾患に伴う運動器障害
FGF23過剰症の運動器障害
古家 美菜絵
1
,
小林 寛
2
,
伊東 伸朗
1
1東京大学医学部附属病院,腎臓・内分泌内科
2同上,整形外科・脊椎外科
キーワード:
FGF23
,
Hypophosphatemia
,
Rickets/osteomalacia
Keyword:
FGF23
,
Hypophosphatemia
,
Rickets/osteomalacia
pp.1599-1608
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000000241
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要旨:FGF23 関連低リン血症性くる病・骨軟化症はFGF23 作用が過剰となることで慢性低リン血症をきたす疾患群であり,X 染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(X-linkedhypophosphatemic rickets/osteomalacia;XLHR)や,腫瘍性骨軟化症(tumor-induced osteomalacia;TIO)が比較的頻度が高い。慢性低リン血症により小児では低身長,骨変形(O脚,X脚)を発症し,小児,成人で骨折,偽骨折による骨痛や筋力低下,歩行障害が生じる。また歯の膿瘍や腱付着部の異所性石灰化,脊柱靱帯の骨化を合併する症例もある。現行治療は活性型ビタミンD 製剤およびリン製剤の内服だが臨床所見の完全な改善は見込めず,治療に伴う腎機能の悪化なども懸念される。TIOは原因腫瘍の切除により完治が望めるが微小腺腫が原因で局在診断に至らない症例も多い。またFGF23 関連低リン血症性くる病・骨軟化症の一般医家における認知度が低いことから正しく診断,加療されていない症例も多く存在しており,認知度の向上にむけた疾患啓発活動が急務である。
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