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特集 薬物療法が奏効する整形外科疾患
低ホスファターゼ症
-―早期発見が予後を左右する―
Hypophosphatasia;how to make early diagnosis?
小林 大介
1
Daisuke KOBAYASHI
1
1兵庫県立こども病院,整形外科
キーワード:
Hypophosphatasia
,
Femoral bowing
,
Tissue-nonspecific alkaline phosphatase
Keyword:
Hypophosphatasia
,
Femoral bowing
,
Tissue-nonspecific alkaline phosphatase
pp.395-400
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000002933
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要旨:低ホスファターゼ症(HPP)は組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)の欠損によるピロリン酸の蓄積や局所のリン濃度の低下により,低石灰化をきたす遺伝性疾患である。本疾患は発症する時期,重症度により6つの病態に分類されている。従来致死性とされてきた周産期重症型から生命予後の良い病型までがある。特徴的な骨X線所見(骨の低石灰化,長管骨の変形など)を呈するが類似した所見をもつ他疾患もあるため,診断は必ずしも容易ではない。本疾患の早期診断に役立つ所見として血清ALP値の低値がある。このとき血清ALP値の基準値は年齢や性別で異なることに注意しなくてはならないが,血清ALP低値を呈する疾患は多くないため,診断には非常に有効な指標である。本症に対しては骨親和性ALP酵素補充薬(アスホターゼアルファ)を用いた酵素補充療法が認可され,患者の生命予後,運動機能予後の改善が報告されている。整形外科医の役割は本疾患を早期診断することと考える。
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